予想通り宮崎へ予算で報復 国民の生活は二の次

【口蹄疫：農相、復興基金設立に否定的考え】

宮崎県が口蹄疫（こうていえき）からの再生・復興基金を３００億円規模で９月に設立すると発表し、国への支援を求めたことについて、山田正彦農相は３０日の閣議後会見で、基金創設に否定的な考えを示した。山田農相は「農林水産省としては、出荷期を過ぎた家畜の補償や経営再建に向けての支援など、具体的に農家支援を行っている。今の時点では、基金を作ることなく、きめ細かい措置はできているのではないか」と述べた。

　そのうえで、山田農相は基金創設について「これから、内閣全体での検討課題だ。農水省で基金を作ると言って、できるわけではないし、これからの対策は、むしろ商工業者などの関連業者への地域振興策ではないか」とも語った。【佐藤浩】
(2010/07/30　毎日新聞)


7月28日に衆議院で口蹄疫対策のための閉会中審査が開かれました。

残念ながら参議院では問責決議案を握りつぶすために
閉会中審査を行うための閉会手続きも行わずに
民主党が国会を開かないという暴挙を行ったため
参議院では閉会中審査が行えませんでした。

28日の閉会中審査において
自民党の宮腰、江藤両議員の質問に対して
山田大臣をはじめ官房副長官、財務副大臣ともに
口蹄疫対策特措法に「基金の設立」とはっきり記載されているにも関わらず
「いくつもいっぺんに質問されても…」（事前通告しているのに）
「いろいろ対策をやってます」（基金を設立するかの質問に対して答えない）
等々、復興基金の設置について回答しない事に徹していました。

口蹄疫対策のために受注中の工事すら中止して動いた地元建設業組合
種付けを停止して感染予防に奔走した近県の農家
これらに対する山田大臣の言は長々と言い訳を並べただけで
「自主的にやってたヤツまで保証すると、さらにお金が足りないから無視」
という趣旨のものでした。

その挙げ句に民主党は5月に原口大臣が発表したとおりに
口蹄疫対策の補償は特別交付税で対応すると言っています。

特別交付税というのは地方へ交付される税金の６％と決まっており、
平成20年度ではトータルで1兆円弱で
今年度では1兆2000億円程度の金額になりますが、
こちらは宮崎だけの物ではなく、
全国の自治体に対して交付されます。

通常の災害対策についてはこの特別交付税でまかなわれているため、
今後台風シーズンが到来して台風による被害が出てもこの税金が使われます。
当然、現在の集中豪雨災害の被害にも使われます。

要するにほとんど使う先が決まっているだけでなく、
使える金額の上限が決まっており、
宮崎県に限らず九州全体で口蹄疫によって受けた被害の対策
これらを補償するには全く足りないのです。

逆に民主党視点で見れば、
口蹄疫災害復興をきちんと行うなら1兆円規模で用意しないと足りないのですが、
（元々被害が広がるまで対策を放置して報道規制した民主党の責任ですが）
特別交付税ということにすれば、
使える上限金額も最初から決まっていて、
特別に復興対策予算を作らなくて済むため
宮崎県には実質的に「ゼロ回答」という報復を行いつつ
「口蹄疫対策にも予算を出しましたよ」
と言い訳ができるというところでしょう。

先の参院選では宮崎県の全ての市町村で民主党は惨敗しました。
それが開票一番乗りで対立する自民党の候補の当確につながりました。
民主党にとっては間違いなく報復対象でしょう。

そのため、民主党政権が自ら成立させた口蹄疫特措法に
「基金の設立」と明記されているにも関わらず、
基金の設立を拒否し、特別交付税でまかなうという
従来の毎年の台風被害などの対策と同じ扱いにしたのだと思います。

国民の生活は二の次でとにかく自分達の権力を維持するため
従わない人達には直ちに報復というのが民主党のやり方だと
長崎、鳥取、そして今回の宮崎ではっきりわかったと思います。