政治主導？官僚主導以前のレベルに・・・

9月8日に開かれた衆院農水委員会の閉会中審査において
自民党の江藤拓議員の質問で山田大臣と以下のようなやりとりがありました。


・基金設置について
江藤
　「宮崎県が設置を求めた300億の基金について、
　なぜこれが難しいと断った上に早急に特に必要な分だけにした
　その後の120億の基金設置要求も難色を示しているのか？」

山田
　「中身を見ますと道路とか口蹄疫とは直接関係のないものが入っていますし、
　畜産関係についても消毒体制の整備、防疫体制の整備・・（例を列挙）
　しかし、この中で農水省でできますのはこの中のどれそれ8億円だけになります。
　その他細かいことは各省庁でいろいろと今詰めている段階です。
　ところが、宮崎県は総額300億の基金を求めているために遅れている状態です。」


・口蹄疫特措法に記載されている手当金について
江藤
　「現状のままだと国からもらった手当金に対して課税されてしまう
　実質収入０なのに課税されたら生活できない
　口蹄疫特措法にも手当金に税負担等をさせないようにすると書いてあるが
　いつこの対策を行うのか？」

山田
　「法律で非課税と書いているんだから非課税にします。
　次の臨時国会で出して欲しいので財務省にお願いしている所です。」

江藤
　「それなら安心させるために課税はしませんと総理から言わせるとかしてくださいよ」

山田
　「それは総理の仕事ではありません」



あまりのひどさに見ていて呆れました。
まず基金の設置についてですが、
これは特措法にもきっちり書いてある事で先の通常国会の時も
一貫して設置に難色を示し続け、その後の臨時国会でも設置しませんでした。

そこにきて今基金の設置の話がまったく進んでいない言い訳として
「ミヤザキケンガー！」と来たわけです。
宮崎県が総合的な基金を要求している事が悪いと・・
農水省の対応できない事業まで基金要求に入れてるから悪いのだと。

実際に宮崎県での今回の口蹄疫による被害は2000億円以上と算定されています。
とにかく少しでも早く復興基金を立ち上げなきゃならんということで
取り急ぎ300億円の基金設置を宮崎県側が求めているのです。

それに口蹄疫によって工事を停止して地元の建設業者は対策に走りました。
それらの事業の一部穴埋め分なども入っているのです。
「口蹄疫とは関係ないものまで求めている宮崎が悪い」
と基金設置が進まない理由にするのですからお話になりません。

山田の言い訳をそのまま素直に受け取れば
「各省庁のそれぞれの担当があるから調整に時間がかかってます。
宮崎県が総合的な要求をしているのが悪いんです。」
ということです。

民主党は政権発足後すぐに
「官僚支配を打破する」として事務次官会議を諸悪の根源として廃止しました。

安倍政権以降の自民は事務次官会議に大臣が必ず出席し、
それぞれの省庁の官僚と大臣によって情報交換が行えていました。

たとえば、学校を建設するとなれば文部科学省の担当になりますが、
その学校まで道路を引くのであれば国土交通省です。
他省庁の管理している施設を転用するとなればそちらにも話が必要です。
事務次官会議はそれらのことを毎週各省庁で情報を出し合い
「この事業については国土交通省で今回は持ちます。
来年分は文部科学省で持ってください。」
等の調整を行っておりました。

ところが民主党は「省庁間での調整をどのように行うのか？」
という事を一切考えずに単に事務次官会議を廃止し、
それぞれの省庁同士を孤立化させたのです。

政務三役などと言って大臣1名副大臣2名政務官2名
各省に5人も議員を配置しているのですから、
政務官や副大臣同士でそうした調整をするのかと言えば
能力が無いため全くできないのです。

また、民主党政権になってから閣議や政務三役会議の議事録を
一切取らないようにした事もこれに拍車をかけました。

山田大臣が宮崎県の要求が総合的なのでと責任転嫁発言をしたことは
民主党政府のこうした内情から来るものです。
政治主導と言いながらその政治主導のまさに根幹部分が何も無いのです。


口蹄疫被害の手当金についてですが、
口蹄疫対策特措法の18条5項には
国は、平成二十二年四月以降において発生が確認された口蹄疫に関し、法第二十三条第一項、第二十五条第一項、第二十六条第一項、第二十七条、第二十八条又は第三十条の規定に基づき消毒を行った者が当該消毒に要する費用について、当該者が実質的に負担する部分を生じさせることのないよう、必要な措置を講ずるものとする。

とはっきり国が手当金による負担が生じないようにすることを明記しています。

自分達で成立させた法案なのにもかかわらず
民主党はこれを指摘されるまで誰もこの点に気づかなかったわけです。

そしてこのことを今度の臨時国会でできるようにするために
財務省の官僚にお願いしている最中だと答えたわけです。

これについてその後にさらに呆れる事が起きました。
江藤拓議員のブログより
手当金への課税問題について、私が大臣に厳しく追及すると、大臣は「臨時国会で法案を提出して処理したい」という旨の発言をされました。
それでも遅いとは思いましたが、ようやく前向きの答弁を引き出せました。
ところが１時間もすると大臣は「財務省からこのことについて今ペーパーが来ました」との発言があり、先ほどの発言は議事録からは削除して欲しいという申し入れが来ました。
本当にビックリしました。あきれて物が言えません。
これでは民主党は政治主導と言いますが、財務省の完全支配ではありませんか！

「手当金については財務省にお願いしてて今度の臨時国会に法案を出したい」
と発言したわけですが、
その1時間後に臨時国会に間に合わない旨を財務官僚に言われたので
発言を議事録から削除したいということのようです。


なにもかも責任転嫁をする上に、
官僚にゴネられたら自分達でなにもできない事をあっさり露呈しました。
どこが政治主導なのでしょうか？
おまけに官僚以上に頑固です。

官僚以上に頑なに官僚的対応しかできず、能力は素人以下、責任感皆無、
そのくせ選挙で負けたら報復する事にだけは熱意を燃やす。
これが民主党の姿です。


口蹄疫対策をせずに放置し、報道規制を行い、責任転嫁。
あげく自分達で成立させた法案の内容すら担当閣僚がまるで理解していません。

口蹄疫は牛豚に感染する伝染病でしたが、
これが人に感染する悪質な伝染病だった場合・・・
日本国内は阿鼻叫喚の地獄になるでしょう。

口だけの無能集団民主党には一日も早い国会からの退場を願います。