9.24事件の裏であった為替介入から考える

24日に民主党政府は再び為替介入を行いました。
以下のドル円のチャートをみてください。

赤い矢印をつけた部分が為替介入の部分です。

為替介入の後にさくっと元に戻っています。

先日、仙谷官房長官が「82円辺りが防衛線」と発言したり、
野田財務大臣が為替介入を行ったとわざわざ会見を開いてアピールしましたが、
こうした国内向けの「俺たち仕事してるぜ」というアピールは不要です。

政府は今年度の政府短期証券
(政府が一時的な資金の調達のために発行する短期国債）
の発行限度額を設定しており、
その上限額の差から計算すると残り40兆円となっていますので、
見る人から見れば「政府の介入のための実弾の上限は40兆円」
と足元を見られてしまいます。

また、民主党になってから米英などに根回しをするような
そうした外交チャンネルを民主党議員は持っておらず、
そういう物を広げようという外交努力もされていません。

したがって日本が単独で場当たり的に介入を行う事になり
効果は非常に限定的なものになってしまいます。

また、為替の防衛ラインを官房長官に言及した事で
そのライン手前あたりまで誘導され介入を待って利益にされてしまうでしょう。

チャートを見る限りもうその状態のように見受けます。



さて、円高ですが根本的な原因を考えるべきだと思います。

下はFRBのバランスシート推移です。
(http://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/bst_recenttrends.htm
から取ってきています。)

これを見るとリーマンショック直後に一気に増えている事がわかります。
2.5倍程度でしょうか。

これに比べて日本銀行はといえばこの2年で1.05倍程度です。
仮に大げさに1.1だとしたところで、
日本では供給された円が1.1倍　米国では供給されたドルが2.5倍

ドルの方が圧倒的にふくれているのですから、
相対的に円の価値が上がり、ドルの価値が下がります。

これだけ一気にふくれたのですから円高ドル安が進行するのは当たり前なのです。


他方、内閣府は14日に４～６月期のデフレギャップ
（供給に対して需要がどれだけ不足しているか）が25兆円と発表しました。

少なくともこの25兆円分は市場にお金が回らなければ
その分またデフレが進行します。

量的緩和でこの日本の方のバランスシートを拡大させる事が処方箋だと思います。

日銀に円を刷らせ、政府はその円で日銀に国債を買わせ、
政府はこのお金を公共投資に回す事で景気対策を行います。
需要が不足しているのですから、政府が需要を作るわけです。
バランスシートの拡大は円高抑制にもなります。

よくテレビのコメンテーターが国債をたくさん刷るとハイパーインフレがどうたらこうたら
などと言っていますが、少なくとも日本にはこれは当たりません。
ものすごく単純に言っても25兆円のこの需要不足の分はインフレの材料になりません。
基本的に需要がオーバーしなければ普通のインフレにすらなりません。


為替介入というのは短期的に急激な相場の変動に対する対応策
という位置づけで考えるべきだと思います。

中長期的な戦略が何も無い状態でのごく短期的な対応措置である為替介入だけ
しかも日本単独という形ですから、こんなやり方で続けられるはずがありません。
また、効果も限定的で継続しません。

残念ながら民主党政権はすっかり財務省に取り込まれて
増税すること以外考えていないようですが、
デフレの進行中に増税をすれば、
その増税分さらに需要が減るのですから、かえって不景気、デフレの長期化を招きます。
景気が減速すればそれを改善するにはさらに大きなお金と時間が必要になります。

今必要なのは増税ではありませんし、
為替介入によるその場しのぎの円高対策ではありません。

菅直人は雇用雇用と言っていますが、
その働く先は需要が無ければ増えないのですから、
コンクリートから人へ　というスローガンを撤回して
景気対策としての公共投資を行うべきです。


自分達の間違いを決して認めない人達ですから、、無理でしょうけど・・・。



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