野田の所信表明から

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一昨日、野田が所信表明をしました。

国会が開かれるその前日、民主党の国会対策の責任者である
山井和則は地元京都の行事に出席していました。
「顔を売る」ことを最優先にしているわけです。
しかし、国会日程はまったく調整が付いておらず、
本来ならば国対委員長として与野党と膝をつき合わせてでも
国会での審議日程の調整を行わなければならないはずでした。

そして、今日現在、衆議院ですら審議日程が決まっていません。
山井和則としては「俺たちに少しでも都合が悪い条件は絶対に応じない」
このスタンスを崩さないので全く調整がつかないようなのです。

そしてこれらを「野党の審議拒否」という事にして
責任転嫁したい山井と野田の思惑が一致しているのでしょう。
彼らとしては国会など開かない方が良いですから。
復興予算流用問題の追及をさせないために、
平然と憲法違反をしてまで閉会中審査を潰す山井は
野田にとって理想の国対なのでしょう。
困れば山井に責任を押しつけて役職を切れば済む話ですしね。

まずは野田の小さい所から
【首相「吉野家に今入れない」…外出控え通販牛丼】
野田首相は２９日夜、首相公邸に当選１回の民主党衆院議員十数人を招いて会食した。

　出席者によると、首相は「あまり外でご飯を食べると、ＳＰ（要人警護の警察官）がかわいそうなので、外に行かないようにしている」と語ったという。さらに「牛丼が好物なんだが、（牛丼チェーン店の）吉野家には今、入れないので、通信販売で『牛丼の具』を首相公邸に取り寄せて食べている」と、“苦労話”も披露した。

　野党の厳しい攻勢にさらされる首相は最近、面会者に疲れた様子を見せることが多いとされ、夜に外で会食する機会も減っている。この晩は、周囲の懸念を払拭し、健在ぶりをアピールしたかったようだ。
（2012年10月30日08時01分 読売新聞）

またしても底の浅い庶民派アピールをやっていたようです。
首相動静を見れば、野田が料亭やら高級店三昧であることは
誰でも解るはずです。
理髪も議員会館地下にある理容室を使わず、
会員価格ですらカットでも15750円というカージュラジャ・ティアド
を愛用するようになりました。

税金で贅沢三昧という生活を辞めたくない
というのが本当のところでしょう。

さて、そんな野田の所信表明演説。
もはやあの顔と声など聞きたくないという人が多いでしょう。
私も野田と菅直人は声を聞いただけでも不快になるようになりました。

自民党時代はだいたい6500文字くらいなのですが、
民主党政権になってからは
ルーピーで1万3400字、菅直人で1万1000字、
野田も就任直後は約1万字と無駄に長いのが特徴です。
今回も約9300字ほどで長いですが内容は薄いです。
以下、ブログ主の独断による要約を書きます。
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・私を突き動かしてきたのはこの国の将来を憂う危機感だ！
　課題が多いから投げ出す気はない。
・国会議員は政局ではなく協力しろ
・グリーン、ライフ、農林漁業の3分野を重点分野にして経済再生を進めるよ！
　そのための経済対策の第一弾を決定したよ！　（注1）
・2030年代半ばには原発ゼロを目指す。具体的方策はこれから考える
　そのためには再生可能エネルギーだ！年末までに政策考えるよ。
・アジア自由貿易圏（FTAAP）、環太平洋経済連携協定（TPP)、日中韓FTA、
　東アジア地域包括的経済協定（RCEP）を進める！
　それとも老いていく内向きな島国として衰退していいのか？
・震災復興がんばってきたよ！これからも復興庁が司令塔となってさらに良くしていくよ。
・福島の再生なくして日本の再生なしって言ってきたけど政府全体でこの堅い決意は揺らがない。
・税と社会保障の一体改革を続ける！マイナンバー制度も実現しなければならないから協力しろ
・外交と安全保障はかつてなく厳しい状況になっているけど中国、韓国、ロシアなどとは「大局観を持って」あたるよ
・最高裁で違憲状態とされた衆参両院の一票の格差是正と定数削減を含む選挙制度改革は一刻の猶予も許されないから今国会中で結論を見出す（注２）
・いかなる政権も特例公債無しでは財政運営できない、すでに地方予算などで執行抑制が余儀なくされている。このままでは行政サービス等が滞って国民生活に重大な問題が生じて経済の足を引っ張る事になる。（注３）
・国会議員は政局ではなく政策本位で協力しろ
・大局よりも政局を優先する政治が良いのか？
　「明日への責任」を果たすために
　国民は野党が協力するように圧力をかけてほしい。
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全てがツッコミ所という酷いものでした。

まず演説の序盤から

まだ宿題が残ったままです。「明日(あす)への責任」を果たすために、道半ばの仕事を投げ出すわけにはいきません。

　誰もがやらなければならないことを徒(いたずら)に政局と結び付け、権力闘争に果てしないエネルギーが注がれてしまうような政治をいつまでも繰り返していてよいはずがありません。やみくもに政治空白を作って、政策に停滞をもたらすようなことがあってはなりません。

　将来世代を含む全ての国民を代表する国会議員の皆さん。やるべきことを、きちんとやり抜こうではありませんか。明日(あす)への責任を堂々と果たすため、先の国会で熟議の末に見出した「はじめの一歩」の先に、確かな「次の一歩」を、この国会で力強く踏み出そうではありませんか。

解散という言葉を徹底して避けながら
「解散する気はない」ということをアピールしています。
そしてそうした解散圧力を「権力闘争」「政治空白」として、
野党議員に責任転嫁しています。

「近いうち」に解散するといい、
谷垣には「来年の予算は自分の手ではやらない」と言って
誤魔化してきた野田です。
やるべき事をやらず、やらなくてよい事にだけ全力を出し、
日本経済の足を引っ張り、常に中韓に徹底譲歩を続け、
椅子にしがみつき続けるためだけに
国会審議もまともに行おうともしないからこそ
批判が高まっているのだと思いますが、
こうして平気で責任転嫁できるところが
やはり民主党の中で出世できた理由なのでしょう。

（注1）で野田が触れていますが、
野田は総額で約8000億円規模の経済対策を先日閣議決定しました。
主な財源は予備費から確保される予定で財源問題はありません。

しかしながら（注３）のところにあるように
野党が野田内閣の特例公債法を無条件で通さないから
国民生活に影響が出はじめていると言い出しています。

本来は特会で積み立てに回している予算を止めたり、
政府短期証券（今年度は19兆円の枠が余っている）を使ったりして
行政サービスなどが滞らないようにするのが常識ですが、
輿石が
（予算が足りなくなり、国民生活に影響が及ぶから）民主党が動かず耐えていれば、自公の方が世論の批判に抗しきれなくなり、解散の確約がなくても、法案に賛成するようになる。
「戦わずして勝つだ」
などと判断していると報じられましたが、
野田内閣はわざと国民生活に影響が出るところに絞り込んで
予算の執行停止をはじめています。

たとえば、野田内閣は協会けんぽに対する補助金支出を止めています。
そのため協会けんぽ医療費が12月中旬にも枯渇するため
これを回避するために協会けんぽ側は借り入れを実施する方針です。
（注４）
また、市町村の財政運営には欠かせない地方交付税についても
11月分の支給の延期が野田内閣によって決定されました。
(注５)

野田と輿石は野党に責任転嫁するために
「野党が特例公債法を無条件で通さないから財源が無くて止めるしか無い」
と言ってわざと国民生活に影響が出るところを選んで止めているのです。
そのくせに（注１）のように
経済対策第一弾などと称してそちらに財源を回しているのです。
それにそもそも本来ならば予算とセットで審議するはずのものを
今年の通常国会で野党から反発を食らう事を恐れ、
予算とその財源である特例公債法を分離して予算だけを通して
特例公債法についてまともに審議しようとしなかったのが野田内閣です。
それを国民生活を人質にして野党に無条件で通させようとしています。
この問題をわざと指摘しないでいるマスコミも共犯者です。


（注２）の部分も相変わらず居座る事を目的にしています。
最高裁判所が違憲状態としたのは一票の格差問題であり、
定数是正や選挙制度改革は関係ありません。
従ってまず違憲状態を改善するために「0増5減」を行い、
あらためて野党と定数や選挙制度について話し合えば良く、
このことは谷垣との党首討論で谷垣に指摘され、
野田はその場では定数是正を先に行うことに同意しました。
しかし、その直後に民主党の樽床伸二が「違憲状態」を悪用して
いつまでも政権に居座るために与野党協議で
野田の発言を「個人的意見」と党首討論の場で
党首としての発言であることを否定して
「定数是正と比例代表連用制とセットでなければ定数是正はさせない」
と野党に一方的な条件を提示して定数是正をさせない路線に出ました。
そのことを理解した野田も自らその後に「個人的意見」と
党首討論の場で自らが発言した言葉に責任を持ちませんでした。
それ以降、野田は輿石とともに定数是正をさせない事で
「違憲状態のままで解散できない」と
自分達が居座り続けるためにずっと「比例代表連用制」「定数大幅削減」
と抱き合わせにし続けてきました。
（野党が絶対に賛成しない条件を提示し続けて野党に反対させ、
「賛成しない野党のせいで一票の格差是正ができない」と言い続けている）
今回の所信表明では（以下原文ママ引用）
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　最高裁判所から違憲状態との警告がなされている衆参両院における一票の較差の是正と、定数削減を含む選挙制度改革は、もはや一刻の猶予も許されません。必ず、この国会中に結論を見出してまいります。
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と、定数削減と選挙制度改革も違憲状態に含まれるかのように
紛らわしい表現を使って国民を欺こうとしています。
一刻の猶予も許されないのは「一票の格差是正」のみです。
次の選挙で小選挙区で落選ラッシュになる民主党が
「小選挙区で落選した党ほど比例で復活しやすくなる」連用制を
あわよくば成立させようという所にも民主党の汚さが見えます。

散々野党に責任転嫁をしてから
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　皆さんが願うのは、党派対立が繰り返され、大局よりも政局ばかりを優先してしまう政治なのでしょうか。それとも、やるべきことを最後までやり抜き、明日(あす)への責任を着実に果たしていく政治なのでしょうか。主権者たる皆さんには、政治の営みを厳しく監視し、明日(あす)への責任を果たす方向へと政治の背中を押してほしいのです。
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政局だけの野党が悪いんだ。
大局から考えて国民は野党に圧力をかけるようにしてくれ
と言っています。

総じて野田の今回の所信表明演説は
「ヤトウガー」「コクミンノセイカツガー」「解散する気はない」
を強調する程度もので内容が極めて内向きで薄いものになっています。
主要国の首相の演説として海外のメディアで報じられた時
これはちょっと恥ずかしい内容だと思われます。

野党に責任転嫁する事に多く割り振られたこの内容で
野党に協力しろというのですから野党は反発して当然でしょう。

また、すでに野田内閣では
　人権委員会設置法案
　人権擁護委員法の一部を改正する法律案
を提出する予定となっていますが、
今回の所信表明では全く触れていません。
本当に自分達がやろうとしていることは「悪い事」だと理解しているので
国民に知られないようにだまし討ちしようという事でしょう。

なお、人権擁護法案については当ブログで先日書いた
人権委員会設置法案絶対沮止
を是非ご参考にお読みください。

人権委員会設置法はなんとしても沮止しなければなりません。
そのためには多くの人にその存在を知ってもらうように
皆さんにもご協力をお願いいたします。


注４：
【協会けんぽ医療費が１２月中旬にも枯渇　借り入れ実施方針】
　中小企業従業員の健康保険を運営する全国健康保険協会（協会けんぽ）が支払う医療費が１２月中旬にも枯渇する見通しであることが２８日、厚生労働省の調べで分かった。赤字国債を発行するための特例公債法案が成立せず政府が予算執行抑制を続け、協会けんぽに対する補助金支出を見合わせているためだ。

　野田佳彦首相が衆院解散時期の明示を拒み続け、同法案への野党の賛同が得られない状態が続いた場合、協会けんぽは銀行から毎週３００億円規模の借り入れを実施し、不足分を補う。国民生活を「人質」に野党と対峙（たいじ）してきた民主党の政権担当能力の欠如が露呈することになりそうだ。

　医療費の枯渇時期の予想は、インフルエンザなどの感染症の流行で新たに増大する医療費を想定していない。このため同省は「枯渇が早まることもありうる。医療費の推移を見守りたい」（厚労省幹部）として、早ければ１１月中にも枯渇する可能性もあるとみている。

　病院への医療費の支払いが滞ると、医療費の３割を自己負担している協会けんぽ加入者らが全額負担しなければならない事態に陥る可能性があることから、協会けんぽは銀行からの借り入れ方針を決めた。補助金が滞ることが原因の借り入れは初めてで、借金の利子は加入者が負担することになる。


　協会けんぽは、補助金１兆３千億円の収入を前提に今年度予算９兆３千億円を計上。うち加入者の保険料収入７兆９千億円を見込んだ。これに対し、病院などに対する医療費の支出は８兆２千億円を想定し、十分賄える計算だった。

　４月には協会けんぽに対し、８千億円の補助金が政府予算から拠出された。続いて１０月に残りの５千億円が支出される予定だった。ところが、政府が９月、総額５兆円規模の予算執行抑制方針を閣議決定。協会けんぽへの補助金が抑制対象となり、１０月分は見送られた。
(2012/10/29　産経新聞)

注５：
【市町村向けも支給延期へ＝11月2日配分の交付税―政府】
　政府は29日、11月2日に予定している地方交付税の支給について、道府県分、市町村分とも当面延期する方針を固めた。今年度予算の財源となる赤字国債発行に必要な特例公債法案の成立が見通せないため、予算執行抑制の一環として判断した。
　交付税は、自治体の財源不足を補うため、毎年4、6、9、11月の4回支給される。政府は財源が底を突く時期を先延ばしするため、9月分も道府県向けの交付を9～11月に3分割して支給。市町村向けは、財政基盤の弱さに配慮して予定通り配られた。　
(2012/10/29　時事通信)




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