そもそも、で考えましょう

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自民が政権公約を発表した翌日のマスコミは
皆これを批判する形でした。
マスコミは実にわかりやすいです。

マスコミの嫌がる事は「日本にとって良い事」
マスコミの持ち上げる事は「日本にとって良くないこと」
これがよりハッキリしました。
そう言っていいでしょう。

例えば日経新聞の22日の社説は
【「古い自民」が見え隠れしていないか】
という見出しで
予定通り

・公共事業→バラマキ
・原則無き関税撤廃である限りTPPは認めない→農業票に配慮した
・インフレターゲット・日銀法改正→日銀の独立性を損なう
・尖閣への人員常駐・教科書検定等見直し→周辺国との関係を損なう
・法人税率引き下げなど→具体的数字が無い

そしてこれらに加えて
・古い自民の反省がないor古い自民の体質から変わっていない

以上をテンプレートにして各マスコミとも作文をしているだけです。

たとえば朝日新聞の22日の社説では
【自民党の公約―３年間、何をしていた】
(2011/11/22　朝日新聞社説)
という見出しで

古い自民のままで何も変わっていない。
と予定通りのテンプレートから始めました。

業界への配慮がにじんでいてダメだ。
TPPについても曖昧だからダメだ。
発送電の分離などを進めようとしていないからダメだ。
国土強靱化は財政悪化を招き金利の急騰を招くからだめだ。
右にかたむいているからダメだ。
などなど書いています。
そして教科書検定における近隣諸国条項の廃止については
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近隣諸国条項も、河野談話も、近隣国との信頼を築くうえで重要な役割を果たしてきた。次の政権がこれらを引き継がないとなれば、近隣国との関係がいっそう悪化しかねない。慰安婦問題には米国や欧州も厳しい目を注いでいることも忘れてはなるまい。
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などと書いています。

■「そもそも論」を常に

この記事をお読みの皆様に是非これは押さえておいてほしいのです。
物事を議論するときに、相手が自分の有利な方に話を進めるために
話の前提条件を作ろうとする場合があります。

前提条件を土台に議論をすすめていこうというわけですが、
ここで前提条件が間違っていればその上の議論はすべて間違いになります。

たとえばマスコミの言う「バラマキ」の意味、定義はなんでしょうか？
私ならばバラマキ＝効果の無い、あるいは役に立たない行為。
であるとすればどうでしょう。

たとえば民主党の2009年のマニフェストには経済対策がありませんでした。
そこで民主党は苦し紛れに
「子ども手当で各家庭の可処分所得を増やし、これが経済対策になる」
と言って子供手当を経済対策だと言いました。

そして子供手当が実施され、
そこから子供手当の乗数効果は0.4程度と言う推計が出されました。
使ったお金より経済効果が無いわけですから経済対策としては失敗です。
経済対策として見た時に「バラマキ」でしょう。
そして次の世代へ何かインフラとして残るわけでもありません。

他方、公共事業は乗数効果1.4程度と言われています。
ましてや必要なインフラを整備して
それが残るのですから「バラマキ」の定義に当てはまるでしょうか？

マスコミと経団連など、TPP推進派はいまでも
TPP＝農業問題として、
TPP議論の土台となる前提条件を誤魔化しています。

TPPは農業問題だけの話では無いですし、
「TPPに参加すれば貿易で有利になって儲かる」
という事もマスコミは勝手に前提条件にしています。

「そもそも、どうやってTPPで日本の貿易がプラスに伸びるのか」
この疑問にマスコミから具体的なプロセスが語られたでしょうか？

日本のマスコミのやり口は常にこれなんです。
「前提条件」に嘘を仕込んでそれを土台に話を展開するのです。
前提条件が間違っていれば結論は間違いになります。

日銀の独立性ってなんでしょうか？
国が目的として掲げている事に対して
「日銀は政府の目的を無視して勝手に動けます。なぜなら独立しているから」
というのが現状だから問題なわけです。
「目的に対しての手段を選ぶ自由を与える」
つまり手段の独立性はあって良いわけです。
日本というものを企業として考えれば
その企業の一部署が企業の掲げている目標を無視して勝手な事をできる。
こんなものはありえないでしょう。
今の日銀は「目的」まで独立しているから問題なのであって
マスコミはこの「そもそも日銀の独立性とは」について言及しません。

朝日新聞は社説で
「近隣諸国条項を守らない行為は周辺国との関係を悪化させる」
という事を書いていますが、
朝日新聞の言う周辺国というのは「特定アジア」だけでしょうし、
民主党政権は近隣諸国条項を守るどころか
特定アジアに対して徹底的に譲歩をし続けましたが、
むしろ戦後最悪とよべる関係になりました。

「近隣諸国条項を守っても関係が悪化した」
という事を民主党が実証したわけです。
となれば、朝日新聞は自分達の前提条件に対して疑義を示してくれた
民主党のこの結果をきちんと取りあげて
「関係悪化」の構造の検証から入るべきでしょう。

マニフェストに具体的数字を盛り込みまくった民主党はどうでしたか？
具体的数字を守れましたか？
どうせマスコミの自民党の政権公約への言いがかりの付け方は
・具体的数字がある→そんな数字はできっこない
・具体的数字がない→あいまいだ。ずるい。
どちらかでしょう。

民主党のマニフェストが実現不可能な事は
政権交代前からずっと指摘されていました。
でもマスコミはそこに触れずに「自民はダメだ！」「政権交代」
で世論誘導を行いました。

マスコミは「古い自民」という言葉をしつこく使い
「古い自民」＝とにかく悪い
という前提条件で話をしています。
そしてテレビばかり見ていて2009年の選挙に「政権交代！」と
民主党へ投票した人達の一部は
「民主はだめだったけど、自民もダメだ。だって悪いからだ」
というような内容のことをさらりと言います。
その悪いという論拠は極端に言えば
「マスコミが自民は悪いと言っている」というものになりがちです。

マスコミが連呼し続けて来た「古い自民＝悪い」
という刷り込みに疑問を持つことができないままなわけです。

では、そもそもマスコミの言う「古い自民」ってなんでしょうか？
マスコミはこの定義について具体的に説明したことは
おそらく私の知る限りにおいて無いと思います。

自民党政権で金竹小（こんちくしょう）体制などと揶揄され
金権腐敗政治の絶頂期と呼ばれた
不祥事だらけの自民党時代の主流派であれば
むしろその中心人物達の多くが民主党へ行きました。
仮にマスコミの言う古い自民の定義がこのあたりの「古い」であれば
民主党こそ悪い政党になります。

党内で派閥闘争を繰り返して、国政よりもコップの中の争いにばかり動いている
こんなのは昭和に非難されていた自民の悪いところでしょう。

今回、石原伸晃によるクーデターで党内で権力を取り返そうとして
まさにそのコップの中の争いをやった古賀誠、森喜朗、山崎拓らは
谷垣が絶妙なタイミングで総裁選不出馬を表明し、
これが捨て身の反撃となり、
石原伸晃をかついで自分達が実権を握るという野望が潰され、
まとめて引退する形になりました。
仮にこれを古い自民であるとすれば、これはもう壊れてしまっています。

あらためてマスコミに「古い自民」の具体的定義を聞きたいものです。


国債増発についてマスコミは何年もの間、長期金利上昇の危険が
と言ってきたと思いますが、
日本国債の金利は上がるどころか下がり続けて来ました。
となれば「金利が上がらずに下がった要因は？」を
きちんと検証しなくてはなりませんが、
マスコミは絶対にそこに踏み込みません。

谷垣と野田が極秘会談をしたなどとマスコミ各社がでっち上げを行い、
その後はこの「極秘会談が行われた」ということを勝手に前提条件にして
マスコミは記事を書きました。

民主党は「マニフェストでできたこと、できなかったこと」
という事を言ってテレビに出ても同じような事を言いますが、
そのマニフェスト以前に経済、安全保障、教育、外交、これらを全て悪化させました。
「できたこと、できなかったこと」という枝葉の部分で話を展開させ、
そこに議論を追い込もうとしています。
（どうせ「状況が変わったからできなかった」で言い逃れするだけですし）

マニフェスト論以前に経済、外交、安全保障どれも悪化させたわけで、
この事について議論されたくないためのミスリードに過ぎません。
そもそも国家運営に失敗しているのですからマニフェスト以前の問題です。


枝葉の部分の議論に持ち込まれる前に
「そもそも」
と常に疑問を投げかけられるようにしてください。





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